うみやまさんぽ3「夏至」出島キャンプレポート

6月21日ー22日に女川町出島で行なわれた「うみやまさんぽ夏至/出島キャンプ」は無事終了しました。町外町内、小学生から大ベテランの方まで総勢27名の方のご参加、および島の方のご協力を頂きました。誠にありがとうございました。

 

震災後、出島など離半島部では人口流出が続き、地域文化を継続するにはとても厳しい状況が続いています。「うみやまさんぽ」とは、地形と歴史から地域住民の精神的な源流を探り、共に新たな観光資源や地域の可能性をさぐる「心の復興」支援プロジェクトです。

 

幸運にも、出島に出発する直前に、その主旨にご理解いただいた女川町の生涯学習課さまから「円山遺跡」の発掘現場を見学させていただくこともできました。

島では、海水を煮詰めて、かつての島の特産だった「塩作り」を再現。旨味のある味わい深い塩が出来上がりました。山から採って焼いたタケノコにつけたり、塩むすびを作ったりと参加者一同、その味に感激しました。

その合間に、往来が途絶えてしまった島の東側の探索、そして「夏至の日没が石投山の山頂に来る」という仮説を検証すべく縄文時代の石の遺跡を訪れました。曇り空で仮説を確かめることは叶いませんでしたが、夜の交流会では焚き火を囲み、釣れたての新鮮な魚介類と作った「出島の塩」を味わいながら、寺間地区にお住まいの方々から島に眠る様々な記憶やエピソードを教えて頂きました。

 

「東岸には『ソラクッツボロ』というとんでもない穴が空いててね、深さは10メートルはあるんでねぇか。『ボロ』つうのは洞窟のことで、舟が通れるのもあるんだよ」

 

「塩をつくるのに薪になる木が足んなくて、火事が出ても(薪になりそうなものを守れと)床板すら外したらしいよ。」

 

「親は基本的な道具の使い方は教えてくれたけど、漁師というのは、自分で腕や勘を磨かないとなんねのさ。漁場を見つけたら、島の木や山の位置を覚えて、これを山測りというんだけど、目印にするのっしゃ。しかしねー、魚はホントに同じところに来る。変わんないね。」

 

等々、貴重なお話をお聞きしました。

縄文時代から現代まで、という大きな時間のスケール感をもった企画でしたが、自然の豊かさや太陽の運行の前では、現在も過去もなく、常に等しく人と自然の対話と関係が折り結ばれているのかも知れません。そこに豊かな環境があればこそ。その魅力の豊かさを改めて実感するツアーでした。

 

今回得られたたくさんの「宝物」や情報は、時間を掛けて整理して、島や町の方々にお返しする予定です。また、女川ネイチャーガイド協会さんとも、秋~冬にかけて東側(特にソラクッツボロ)の探索をしよう!と計画を温めています。これからも様々な視点をもった多様な参加者をお招きして、出島や女川の自然や歴史を探索していく計画です。

ーーー大事なことは、まず資源を見つけることである。こういう工夫は若いものでなければならない。それも一人ではできない。みんなで集まって空想をはたらかせてみることである。ーーー

 

(宮本常一「日本の離島」より)

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